「ロバのシルベスターとまほうの小石」 | ||||||||||
【2015/08/06 11:18】 | ||||||||||
新版になって、さらに色が美しく、 物語が盛り上がります。
物語は、ロバのシルベスターが、まほうの小石を見つけたことから始まります。 その小石、手に持って願いを言うと、かなうのです。 うきうき、気分で家路を急ぐシルベスターの前に、腹をすかせたライオンが現れます。 焦ったシルベスター「岩になりたい」と願ってしまうのです。 そうして、再び小石を手に持つことができないシルベスター。 もう、このあたりは、どうなることやらドキドキしてしまいます。 そして、いなくなったシルベスターを探す両親。 その様子は、親として身につまされ、他人事(ロバ事)とは、思えなくなります。 どうやって、シルベスターが助かるのか? 絵本で確認してみてください。 本当なら、色々なお願いをして、楽しい日々が待っていたのですが、 苦しい思いをしてしまいます。 でも、そのおかげで、世の中で何が一番大切なのかということがはっきりとわかります。 作家のスタイグは、擬人化した動物のお話が多く、 それも、いつも窮地にたたされます。 (狼に食べられそうになる豚とか・・。) 弱い者でも、知恵をしぼって、強いものを打ち負かすという 勇気をもらえる絵本をたくさん出版されています。 ~~~~~~ 2006年に新版を出していたようで、今まで気がつかず、 でも気づいてしまうと、 気になって買ってしまったのですが、 いい絵本と思っていたのが、とってもいい絵本と改めて思いました。 違いの説明です~~ <追記> 紙質が大きく変わりました。 旧版では、ざらとしたツヤなしでしたが、新版は、てかてかしたツヤありです。 ツヤが出たため、遠くから見ると反射して見にくいという難点があります。 日本は湿気が多いので、最近はツヤありの絵本が多くなりました。 旧の味わいと、新の鮮やかさは、個人のお好みしだいという感じです。 <追記終わり> 大きく変わったのは、絵の色。新版は、すべてが原画に近いと思われるほど、 色がはっきりくっきり。原作者の思いが表現されています。 絵本のサイズ=旧:30.6 x 23.2 新:27.6 x 21.6 原書:ペーパーブック 26.9 x 20.3 ハードカバー28.1 x 21.8 新:旧より、一回り小さくなり原書のサイズに近くなりました。 サイズが小さくなったので、全体的に引き締まった感じになっています。 例えば、P14・15の変な空間がなくなったり、 P18・19のダンカンさんご夫婦のぽつーんとした絵が、きゅっとなりました。 旧版
原書 ペーパーバック版
新版
題字:原書と同じ赤字と黒字になりました。小石は、赤いですからね。 原書のようにかっこいい字になるとよかったですが、 日本語と英語と形が違うのでしょうがないですが・・・。 表紙=新:原書と同じになりました。旧:夕焼け空と題字がかぶっていました。 表紙裏=旧:グレー一色、新:小石と思われる絵がちりばめられて楽しげです。 紙質=旧:評論社の絵本によくある地の色が生成りで、手さわりのやさしい紙ですが、 日本の湿気でシミになりやすい欠点があります。 新:湿気に強い紙質ですが、 遠くから見るとてかりがあって見えずらいという欠点もあります。 文章=旧:漢字交じりの文章でしたが、新:でさらに漢字が多くなり、 文章の行数が少なくなり、文章が少し気にならなくなりました。 漢字には、ルビがふってあります。大人は漢字交じりの文章のほうが、 読みやすくて助かります。 子どもが自分で読めるようになるころ漢字もならっているので、ちょうどよいと思います。 ひらがなをたどたどしく読めるころに読むと、 お話のおもしろさが伝わらず楽しくないので、 大人が読んであげて欲しいです。 P7 シルベスターが家に帰るページ。旧:左を向いていますが、 新:右を向いています。 ページは右へ右へと進むので右を向いているほうが、自然です。 P10 岩になって、夜のページ。新:青の色が濃くなって夜空の星の輝きが増しました。 P14 夫婦がシルベスターの友達に聞いているページ。新:若草色がとてもきれいです。 P16 犬たちがシルベスターを探すページ。旧:全体がくすんだ色だったが、新:草も空も美しい色です。 P18 旧:文章が下にあったものが、新:上になって、絵に動きができました。 P20 新:紅葉の色もあざやかに。 P22 新:空の暗さが増し、雪の白さが目立つようになりました。 P24 旧:全体がぼんやりしていましたが、新:ぽっかり浮かんだ雲。新緑の黄緑がはっきりとして美しい。 シルベスターが岩になり、季節がめぐる数ページは、 とてもかなしい場面ですが、それを少しでも和らげるような美しい場面が続きます。 物語の中で、ちょっと残念なのが、シルベスターがロバに戻るシーンで、 どうやって戻るか説明している文章のページに、絵がすでにロバに戻っていること。 ここは、説明している途中でページを開くとロバに戻っている絵だと 喜びがもっと大きかったのになと、読むたびに思います。 最後のページ、すべてののぞみがかなって、 抱き合う親子の姿に幸せを感じ、満足して終わることができます。 長くて、細かい説明ですみませ~ん。 ここまで、読んでいただけて嬉しいです。 2011.6.26 初 2013.3.10 加筆 2015.8.4 加筆
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